日常茶飯の暮らし

仕事と家事の狭間にある有象無象

1泊3日香港 ミュージアムの旅(前編)

春節の余韻が残る早春の香港に行ってきました。長期出張先でロックダウンに突入し慌てて帰国してからまもなく4年。久しぶりの出国かつ初めての訪港です。お買い物や夜景鑑賞はそこそこにミュージアムを駆けずり回った1泊3日でした。

HK Express深夜便で香港へ

終電で羽田に向かい、日付変わって1:40発の深夜便に搭乗。足元広めの座席にグレードアップして体力温存に専心するもほとんど眠れず。5時間ほどで早朝の香港国際空港に降り立ちました。

到着フロアにカジュアルな飲食店が並んでいます。7時の開店を待ち、何洪記粥麺専家で白身魚粥。寝不足で頭ガンガン、全身バッキバキで早くも疲労困憊の心身に優しく沁みる。後から知ったのだけど、ミシュラン星つき店とのことで早朝から大繁盛でした。

茶具文物館

MTR尖沙咀駅そばのホテルに荷物を預けて香港公園へ。春節飾りが残る散策道を進むと西洋風の建物が。こちら旧イギリス軍総司令官邸を中国茶文化のミュージアムとして改装した施設で、暖炉が残る居室に古茶器などが展示されています。香港公園の緑に囲まれているのも相俟って都立庭園美術館っぽい。茶具だけでなくお手前(工夫茶)の動画展示などもあって、文化としての「茶」を伝えるミュージアムです。「文人文玩 — 中國文人用具與茶生活」と題した企画展では、文具・茶具の展示に加えて昔の文人の書斎が再現されたスペースが印象的で、本物の丁寧な暮らしをまざまざと見せつけていました。

茶具文物館から目と鼻の先にある樂茶軒(LockCha)で精進点心。こちらの2階では篆刻(篆書体のはんこ)の展示が見られます。

Vivienne Wesewood Cafe

ミーハーなので「Vivienne Westwood Cafeは香港と上海にしかない」と聞けば向かってしまう。銅鑼湾駅近くの商業ビル内の店舗で1階が通常のアパレル、内階段を昇った2階がカフェという構成。デザイナーが好んだというロンドン・ウォレスコレクションのロココ部屋を騙し絵で表現した内装で、美術館でお茶しているような気分になります。Worlds Endのアイコン、13時時計も窓辺に鎮座していたよ。

日本だとなかなか食べられない(家庭用に買っても消費しきれない)クロテッドクリームを添えたスコーンと、おなじみのオーブをパウダーであしらったラテをいただく。ゆったりしていて総じて居心地のよい空間でした。退店時に見つけた掲示に「一人150HKD以上のお会計になるようにしてね」とあって、ブランドの強かさと円の弱さをあらためて実感。

大館

英国統治下時代に建てられた警察・司法関連施設。古い建物は綺麗に修復され、過去の歴史遺産を伝えるミュージアムとして開放されています。大館がやっているガイドツアーに参加して、英語で説明を聞きながら館内全体を回りました。展示で特に記憶に残ったのは、大館が所与のものでなく社会的建造物であることが繰り返し強調されていた点。イギリス式の司法制度が否応なく導入された歴史がうかがえるところは他にもあって、囚人の取り扱いについてアジア人には不利となるような人種差別的な運用がなされていたことにも触れられていました。一方で、ぐるっと中庭を取り囲む警察署・裁判所エリア建物の一階はテラス付きのレストランに改装され、広場には香港藝術節の鳴り物が響き、穏やかを通り越して祝祭感溢れる空気が充満していた。ガイドさんに聞けば、年末にはクリスマスツリーの電飾が点り、賀正イベントが開催されたりとコミュニティの象徴的空間を目指しているそう。

香港海事博物館

中環フェリー埠頭横にある博物館。近代以前の海事史、ヴィクトリア・ハーバーや造船技術の発展など香港の海にまつわる展示が充実している。海盗(pipatesにあらず)に関する史料展示が面白くて、特に海盗を描いた絵巻「靖海全図」に動きや音声をつけた映像展示が目を引きました。絵巻って人物がかなりデフォルメされているから、残酷なシーンが描かれていても一瞥して通り過ぎちゃうことが多いのだけど、ここの展示からはしばらく動けなかった。

Attitude on granvilleに宿泊

宿泊は尖沙咀駅近くのポップな内装のホテルにて。

50年ほど前の尖沙咀をテーマにしているそうで、当時のアイコンがそこかしこにちりばめられている。内装が目に楽しいだけでなく、居室は清潔だしフロントの方も親切でいい滞在でした。フロントに寄る度に日本人女性っぽい宿泊者を見かけたけど、利用しやすい宿として認知されているんでしょうかね。

ほぼ完徹で異国の地を動き回った疲れで夜景を見に行く元気もなく早めに就寝。香港2日目は九龍地区を訪ねます。